Lingerie TALK vol.18『スロギー』

トリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)

スロギー事業本部 プロダクト&マーチャンダイジング部 エキスパート

河野智美さん(後編)

 
自分がいいと思っても
まわりを説得し理解してもらえなければ
商品はいい場所に行けません
 

ランジェリー界で活躍する方々のルーツ、ポリシー、そして夢を語って頂く、「Lingerie Talk @ Lingerie Press」。
今回は、新感覚インナーウェア“ラク”ブラとして注目の『スロギー ZERO FEEL』ノンワイヤーブラの生みの親であるトリンプ・インターナショナル・ジャパン(以下、トリンプ)の河野智美さんに登場していただきます。シリーズ累計販売枚数230万枚突破の大ヒット商品はどのようにして生まれたのか、河野さんのキャリアとともにご紹介します。

*2012年1月〜2017年2月末納品実績 トリンプ調べ

脇役の商品を見つけて
スポットを当ててくださったのはお客様

 

 

川原好恵(以下、川原): 『スロギーZERO FEEL』は、シリーズ累計230万枚の大ヒット商品となったわけですが、どのような経緯で誕生したのですか?

河野智美エキスパート(以下、河野): 海外の下着売場をご覧になった方はご存知かと思いますが、『スロギー』はトリンプ・インターナショナルが展開するグローバルブランドです。“毎日の暮らしをもっと楽しくする”がコンセプトの『スロギー』商品として、日本で企画したのが接着のみ完全無縫製の『スロギーZERO FEEL』。2008年にショーツ単品が誕生し、2013年にブラジャーが誕生しました。2013年頃は、市場でもノンワイヤーのブラジャーがシェアを拡大していて、トリンプとしてどのような商品で参入していくのかを詰めていた時期で、そのひとつとして完成したのがこのブラジャーだったんです。

川原: 『スロギーZERO FEEL』のブラジャーがここまでヒットした要因は何だと思いますか?

河野:まるで着けていることを忘れてしまうかのような心地良さで、どなたにもフィットすることではないでしょうか。『スロギーZERO FEEL』の生地は手間とコストをかけて開発したトリンプオリジナルで、絶対的な自信を持っています。接着の技術もさることながら、この生地のグレードの高さと心地良さが支持されている大きな要因だと思います。

川原:完成したときに、このヒットは予測されていましたか?

河野:試行錯誤を経て発売する商品ですから、自信はありました。ただ、最初は数字が伸びませんでしたね。まったく新しいカテゴリーの商品だったので、どこに置かれるのかな、という心配もありました。従来のワイヤー入りブラジャーとは違うし、肌着でもない、就寝時のブラかノンワイヤーブラの横?……売場では、そういう感じでした。もちろん、主力商品としてスポットライトを当てられるわけもなく、脇役としてひっそりデビューし、注目されない日が続きました。その頃は、前に勤めていた会社で、いつか上司に言われた「お前が好きなものが売れるとは限らない」という台詞が何度も頭をよぎりました。いくらいい物を作っても、まわりの人を説得し、みんなにいい物だと理解して数を出してもらえないと商品はいい場所に置いてもらえません。私はどうやって説得すれば良かったのだろうと壁にもぶち当たりましたし、世の中に認識される前に消えてしまうのではないかと不安に思っていました。

川原:では、何かブレイクするきっかけがあったのですか?

河野:その脇役のような商品を、お客様が見つけてくださったんです。実際に購入されたお客様が、とても気に入ってくださってリピート購入。その輪が自然と広がっていったという感じです。その反応を売場のスタッフが担当営業に報告し、その担当営業が社内でアナウンスし啓蒙してくれました。ある日、「この商品、いけると思う」と言ってくれた時のその営業担当の顔は、本当にカッコ良くて(笑)、今でもよく覚えています。そんなお客様の反応があったのが、有力な量販店だったこともあり、発売してから2〜3カ月後、社内でも「売れる商品」として認められ、結果的にヒット商品として育ちました。見向きもされなかった路肩に咲く小さな花を見つけ「あら、これキレイじゃない」と言ってくださったお客様に、心から感謝します。

 

まるで着けていることを忘れてしまうかのような究極の解放感が特長の『スロギーZERO FEEL』。「日経トレンディ」2016年12月号“2016ヒット商品ベスト30”総合11位に選出されるという快挙となりました。

嬉しかったのは販売教育のベテランから
ものづくりの姿勢を認められたこと

 

川原:2016年10月にスロギー事業本部ができ、2017年1月から本格始動したと聞きました。『スロギー』専任として、これからどのようにブランドを育てていきたいですか?

河野:現在はブラジャーとショーツの展開ですが、限界までアイテムを広げたいと思っています。ノンワイヤーブラも、ただ、“楽”というだけでなく、バストメイク機能にどうアプローチしていくかも課題ですし、色んなシーンに活用していただく商品を作っていきたいと考えています。

川原:これまでトリンプでお仕事をされていて、嬉しかったことは何ですか?

河野:色々ありますね……以前、販売スタッフ教育担当のトップである社員が退職するとき、皆にそれぞれイメージする柄の手ぬぐいをくれたんです。そのときの私の柄は匠職人の柄でした。販売のベテランから、自分のものづくりの姿勢が認められたような気がして、とても嬉しかったですね。

川原:これから“下着のプロ”として活躍したいと思っている方達にアドバイスをいただけますか?

河野:働いていれば、良い時も悪い時も当然あります。その悪い時、やる気が出ない時も自分をキープし、まわりに望まれた仕事をやるのがデザイナーです。いい結果が出せなかったり、環境が悪かったりすると、不満ばかりが募ってしまいがちですが、せっかく好きなことを仕事にしたのであれば、まずは、直ぐにあきらめず、頑張って欲しいです。それまでやってきたことを捨てるのは簡単ですが、惜しいですから。そして、好きだった気持ちをずっと忘れず、時には思い出して欲しいと思います。自分の中にある情熱を忘れずに続ければ、それは自分の足跡になりますし、「続けていれば、けっこう楽しいよ」と伝えたいです。

川原:今日はお忙しい中、長時間のインタビューをありがとうございました。

 

『スロギーZERO FEEL』ベーシックタイプ(G016シリーズ)2800円〜
全16色展開でレッドはWEB限定色。

同プリントタイプ(G046シリーズ)3800円
ノーマルな無地だけではなく、プリントも楽しみたいという声に応えて作られたシリーズ。

同 ブラタイプ(G058シリーズ)3900円
胸元がVカットラインで、ストラップ幅が狭く洋服から見えにくいタイプ。オリジナルの“ボリュームパット”を採用し、ナチュラルかつブラジャーに近いシルエットに。

同 綿混タイプ(G028シリーズ)3300円〜
吸水速乾性に優れた綿混素材(綿45%、ナイロン30%、ポリウレタン25%)。汗に対する消臭機能も装備。

同 深あきタイプ(G036シリーズ)3800円
胸元が開いた服にも合わせやすいよう、襟ぐりが広く、ストラップの幅を狭くしたタイプ。

 

インタビューを終えて……

なかなかヒット商品が生まれにくい今、『スロギーZERO FEEL』の人気は業界の大きな話題となりました。その商品の生みの親はどんな方なのかお会いしたくて、河野さんにインタビューを依頼。そして、長年、肌着の企画に携わってこられた河野さんの生地へのこだわりが、ヒットの源なのだとわかりました。「自分がいくらいい商品だと思っても、まわりを説得し、理解してもらえなければ商品はいい場所に行けない」という言葉には、企業デザイナーの厳しさが感じられます。その中で、実績を積んでこられた河野さんだからこそ、ヒット商品が生み出せたのであり、「すべて自分の足跡になる」という言葉が重く感じられます。これからの『スロギー』にさらに期待したいです。

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