Lingerie TALK vol.19 『トリンプ』

トリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)

コア&サブブランド クリエイティブデザイン シニア・マネージャー 

戸所由美子さん(前編)

 

母娘2代にわたり『トリンプ』のファン

決まっていた内定を蹴って

入社試験を受けに行きました

 

ランジェリー界で活躍する方々のルーツ、ポリシー、そして夢を語って頂く、「Lingerie Talk @ Lingerie Press」。今回はトリンプ・インターナショナル・ジャパン(以下、トリンプ)で『天使のブラ』『フロラーレ バイ トリンプ』『エッセンス バイ トリンプ』など主力ブランドのものづくりを統括する戸所由美子さんに登場していただきます。『天使のブラ』が誕生した経緯、そしてグローバルブランドとして、ヨーロッパやアジア諸国との連携はどのようにとられているのか、さまざまなお話を伺いました。

日本の代表として出席し
グローバルトレンドを構築

 

川原好恵(以下、川原):本日は展示会前のお忙しい中、お時間を頂戴し、どうもありがとうございます。トリンプは、あまりにも日本市場になじんでいるため、一般の方は日本企業だと思っている方も多いですよね。

戸所真由美シニア・マネージャー(以下、戸所):確かに、そうですね(笑)。トリンプ・インターナショナルの中でもジャパン社は独自の道を歩んできたといえます。現在、日本で販売される商品の企画・デザインは東京が拠点となっていますが、パターンメーキング、CAD、サンプル縫製などは香港と静岡で行っています。ここまで分業されているのは、インナーアパレルでもめずらしいかもしれません。最近はトリンプ・インターナショナルとものづくりやブランディングで連携することも多くなりました。春に放映したCMもグローバルで統一のものですし、イメージビジュアルにジェシカ・ハートやリブ・タイラーを起用したり、撮影は伝説のフォトグラファーであるRankin(ランキン)が担当したり。ものづくりの面では、私自身もジャパン社の代表としてグローバルクリエイティブの会議に参加します。ヨーロッパの代表、アジアの代表、そしてジャパンの代表約10名が1週間ほど同じ場所に集まって、それぞれの国の市場動向などを報告し合い、トリンプのグローバルトレンドを構築していきます。このような連携は、ここ最近加速した感じですね。

川原:まるで合宿のようですね(笑)! それに、ヨーロッパもアジアもまとめて報告するのに、日本だけ別なんですね。

戸所:それだけ日本の市場は、他のどことも違う、特別なものだということでしょう。ただ、私が入社した約30年前は、日本で販売する商品も本国主導で作られていて、ブラジャーのデザイン・企画は香港でやっていました。その香港でつくったものをプレゼンされて、日本側から要望を伝えて修正してもらい、商品化するようなプロセスでした。

トリンプは、1886年にコルセット職人であるヨハン・ゴットリフリート・シュピースホーファー(当時32歳)と商人ミヒャエル・ブラウン(当時20歳)が、ドイツのホイバッハにコルセット製造所を設立したのが始まり。左は創成時の本社。まだ『トリンプ』になる前の会社名「SPIESSHOPER&BRAUN(シュピースホーファー&ブラウン社)」が外壁に刻まれています。右は1930年代の工場風景。

素晴らしい物づくりをする会社に
とても興味があり、入社を決めました

 

川原:戸所さんはなぜトリンプに入社されたんですか?

戸所:ひとことで言えば『トリンプ』という会社に興味があったということでしょうか。私は大学では昆虫病理学を専攻していた理系の人間です。就職活動したのも薬品会社や食品会社ばかりで、すでに内定ももらっていました。ところが大学4年生の8月にトリンプが新卒をとることがわかり、入社試験を受けに行ったんですよ。

川原:なぜ、そこまでトリンプという会社に魅力を感じたのですか?

戸所:私の実家は、絹織物の機屋を営んでいて、小さな頃から美しい絹の反物に囲まれて育ちました。下着に関わる仕事を選んだのは、それも大きいかもしれません。何より母がトリンプの大ファンだったんです。もちろん、私自身のファーストブラもトリンプでした。高校生のとき、『プレリュード』というブランドのブラジャーを買ってもらったのですが、そのブラジャーは体に吸い付くようなフィッティングで、最高に気持ち良かったのを覚えています。そのあとに買った袖付きのスリップは、綿100%でしたが何回洗濯しても型くずれしないしピリングもおきない、黄ばみもしない。こんな素晴らしいものを作るトリンプって、どんな会社なの!? と思ったのがきっかけです。その袖付きスリップは、今でも着られるほどで、大切にとってありますよ。

川原:トリンプがジャパン社を設立したのは、たしか1964年の東京オリンピックの年ですよね。

戸所:はい。当時、本国には「神の手」と呼ばれたおじいさんのパタンナーがいて、ジャパン社設立にあたって、彼は東京のホテルに1カ月間缶詰めになって日本人女性の体を何百人と採寸したそうです。そして、完成したのが「トリンプ・スター」というフルカップのノンワイヤーブラで、この商品は、ほぼ当時のパターン・デザインのまま今も販売されています。まさに「神の手」が立体裁断で生み出した、弊社を代表するロングセラー商品ですね。

川原:戸所さんは入社して、どのような仕事をされたのですか?

戸所:先ほどお話したように、私が入社した当時は本国主導で企画・デザインされていました。ただ、すべてにおいて繊細でこだわりが強いのが、日本の女性。それを理解し、より市場に合った商品を日本指導で作るようになる、その過渡期に私は入社しました。普通の日本人女性が使う下着なのだから、お客様と同じ目線で商品が企画する人間が求められ、7年ぶりに大学卒の新卒を募集し、入社したのが私というわけです。以来、市場のニーズをくみとり、現場の声を聞きながら商品を作っていくのが、私の仕事です。

*次号(5/31公開予定)では、『天使のブラ』誕生秘話について、お聞きします。

先日行われた、新ブランド『triaction by Triumph(トライアクション バイ トリンプ)』の発表会。こういった場に登壇し、プレスに向けて開発背景や商品特長などを説明するのも戸所さんのお仕事です。

本国で制作され、世界各国で放映されているCM。イメージキャラクターは、モデル・起業家としてグローバルに知られるジェシカ・ハート。

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