Lingerie TALK vol.23『PRISTINE』

(株)アバンティ 取締役製品部 統括マネージャー

奥森秀子さん(前編)

 

「社員3名だった頃から、工場さんと二人三脚。

その皆さんとは、今でもお付き合いが続いています。」

 

ランジェリー界で活躍する方々のルーツ、ポリシー、そして夢を語って頂く、「Lingerie Talk @ Lingerie Press」。今回は、ご本人の言葉を借りれば“オーガニックコットン屋”であるアバンティの製品づくりを統括する奥森秀子さんに登場していただきます。その黎明期から携わってこられた奥森さんは、オーガニックコットンが定着し市場に広がろうとしている現状をどのように見ていらっしゃるのか、その経緯と共にお聞きしました。

「そんなに一生懸命なら信じるよ」と言って、
少量にもかかわらず請けてくださったんです
 

川原:本日はお忙しい中、どうもありがとうございます。よくお会いして、色んなお話をお聞きしていますが、こうして正式に奥森さんに取材させていただくのは『BODY FASHION 2008年12月号』以来、9年ぶりです。

*現在は休刊

奥森秀子取締役(以下、奥森):(当時の記事を見ながら)懐かしいですね。この時から9年も経つのですね。

川原:あらためて、奥森さんの今のお仕事の内容を教えていただけますか?

奥森:「アバンティ」はオーガニックコットンの原綿の輸入販売、糸・生地・製品の企画製造販売をしている会社です。自社ブランド「プリスティン」のほか、OEMも行いますので、そのすべての製品づくりを統括しています。

川原:アバンティに入社されるまでの経緯は?

奥森:大学卒業後、アパレルメーカーで企画・デザインを担当し、某百貨店の研究所を経て、アバンティに入社しました。もう25年近く前のことになりますね。入社当時は渡邊智恵子社長を含め、たった3人の会社でした。それが今は本社勤務が28名、10店舗のスタッフが32名の総勢60名の大所帯になりました(2017年7月現在)。

川原:奥森さんが入社された当時のオーガニックコットンを取り巻く環境は?

奥森:25年くらい前は、ミルク成分や蟹の甲羅の成分(キトサン)を含んだ機能素材が注目され始めた頃で、オーガニックコットンもそのひとつとして捉えられていました。当時から、アバンティはたった3人の会社なのに、原綿を輸入し、糸や生地、そして製品まで作っていました。「どうして、こんな事ができるの!!」と驚き頭は真っ白。始めはその仕組みがわからなかったのですが、半年くらい経った頃、やっと霧が晴れたように理解できました。自社工場はひとつも持っていない当時のアバンティを支えてくださっていたのは協力工場の皆さん。少量生産ですから、ときには「サンプルかい?」なんて言われた事も(笑)。もちろん、満足な利益が出るわけでもないのに請けてくださったのは、私たちのオーガニックコットンに対する想いに共感していただいたから。それに尽きます。「そんなに一生懸命なら信じるよ。いつかお返ししてくれればいいよ」と言ってくださったことは忘れません。未だに恩返しができているとは思いませんが、そのときにお付き合いが始まった工場さんとは、今でも一緒にものづくりしています。まさに二人三脚で歩いてきた、同志ですね。

「オーガニックコットン」とは、3年以上、農薬や化学肥料を使っていない農地で栽培された綿を指す。牛糞や堆肥などの有機肥料を使い、殺虫剤ではなく害虫を食べるてんとう虫の力を借り、落葉剤も使用せず、霜が降って葉が自然に枯れるのを待って収穫される。そのぶん、栽培・収穫には多くの時間と手間がかかる。

1990年創業の「アバンティ」は、原綿の輸入販売、糸・生地・製品の企画製造販売を手掛ける。海外の有名ブランドへ生地提供するなど、オーガニックコットンのパイオニアとして広く知られる。

デザイン性の高い製品が増えることで
オーガニックコットンウェアは、さらに楽しくなる

 

川原:当時に比べ、オーガニックコットンを取り巻く環境はどのように変わりましたか?

奥森;「プリスティン」は1996年に、松屋銀座さんの「PURE」という売場でデビューしました。体に良い物を揃える店で、タオル、パジャマ、リラクシングウェア、ハーフトップ&ショーツ、スリッパ、ぬいぐるみなどを置いていただきました。オーガニックコットンへの理解は低かったですが、商品を手に取り「いい肌触りね」と、65歳以上の方が買ってくださることが多かったですね。ただ、当時から「世代を超えて使ってほしい、20代の方にも着てほしい」と思っていました。その願いは叶って、今では20代の方はもちろん、3世代にわたって愛用してくださるお客様も。アパレルブランドというのは、デビュー時の顧客の年齢が上がると共に歳をとっていくのが普通です。年を経るごとに、顧客の平均年齢が下がっている「プリスティン」は世界でも稀なケースではないでしょうか。

川原:最近はオーガニックコットンブランドも増えましたね?

奥森:そうですね「ナナデコール」さん、「スキンアウェア」さん、それに「H&M」もオーガニックコットンウェアを強化しています。いろんな方が参入することで、オーガニックコットンウェアはどんどん楽しくなると思いますよ。これまでは、オーガニックコットンとは何か?と説明し、その理念に共感していただくことからスタートしていましたが、デザイン性の高い製品が増えることで「ステキだわ」「気持ち良さそう」「着てみたい」とフィーリングで購入してくださる方がさらに増えています。それがオーガニックコットン市場のさらなる拡大につながります。「可愛いから手に取ったらオーガニックコットンだった」そんな時代になるかと思うと、ワクワクしますね!

メイドインジャパンにこだわった、アバンティの自社ブランド「プリスティン」。メンズ、レディス、ベビー、下着、靴下・タオルなど幅広い商品を扱う。

「プリスティン」では、衣類のほかに化粧用コットンやマスク、布ナプキンなども展開している。

 

*次回(8/31公開予定)は、オーガニックコットン製品の広がり、そして2011年の東日本大震災を機に始まった「東北グランマの仕事づくり」などのソーシャル事業についてお聞きします。

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