Lingerie TALK vol.27 『タケダレース』

(株)タケダレース マーケティング本部 デザイン課 係長

橘 篤史さん(前編)

 

イメージ通りのレースが

出来上がるようになるまで約3年、

そうなると、仕事が俄然面白くなりました。

ランジェリー界で活躍する方々のルーツ、ポリシー、そして夢を語って頂く、「Lingerie Talk @ Lingerie Press」。前回の縫製工場シェリールに続き、今回もランジェリーの物作りに欠かせない存在であるレースのデザイナーさんをご紹介します。登場していただくのは、世界にその名を知られるラッセルレースメーカーである株式会社タケダレースで18年にわたりデザイナーとして活躍されている橘篤史さん。レースの基礎知識からレースデザインの醍醐味まで、いろんなお話をお聞きしました。

ランジェリー好きなら、タケダレースを使った下着を1枚は持っているはず
 

川原:今日はお忙しい中、取材のお時間を頂戴し、どうもありがとうございます。「パリ国際ランジェリー展」と同時開催されている素材展「アンテルフィリエール」にも毎年出展されていますが、私も素材展まで手が回らず、こうして取材させていただくのは初めてです。レースの知識も乏しいので、色々と教えてください。

橘篤史係長(以下、橘):こちらこそ、よろしくお願いします。そうですね、弊社は日本だけでなくヨーロッパ、アメリカ、アジアと世界中にお客様がいますし、台湾、タイ、韓国、中国に合弁会社もありますから、1月と7月のパリ、10月の上海で開催される「アンテルフィリエール」には継続して出展しています。私がいる東京営業部のほか、福井の本社、大阪営業部、中国、タイ、ヨーロッパにもデザイナーを抱え、それぞれの国のクライアントから生の声を聞いて、フレキシブルに対応しています。

10月10・11日に開催された「アンテルフィリエール上海」でのタケダレースのスタンド。常に人が訪れ、活発な商談が行われていました。

 

川原:どんなブランドで貴社のレースが使われているか、教えていただけますか?

橘:具体的なブランド名は控えますが、日本の大手メーカーはもちろん、欧米のSPA(製造小売業)ブランドや百貨店に置いてあるようなブランドなど、おかげさまで多くのブランドに使って頂いています。

川原:私が持っている下着はもちろん、ランジェリー好きの方なら、かならず貴社のレースを使った下着を持っていると言っても過言ではないですね。

橘:はい、きっとそうだと思います(笑)。弊社は約150台のラッセル機を稼働させていて、世界でも五指に入る量のレースを生産しています。意匠性の高いデザインを提案するだけでなく、糸加工、編立て、染色加工、出荷まで一貫して自社工場で行っています。今は開発から生産までにかける時間が短く、素早い対応が求められますから、この一貫生産というのは大きな強みです。

川原:橘さんご自身のお話をお聞きする前に、基本的なことを質問攻めですみません。“ラッセルレース”と言っても、いろんな種類があるんですよね。それを教えていただけますか。

橘:ラッセルレースは主に4つの種類があります。

①ラッセルレース(Raschel Lace)

一番古い種類で、チェーンラッセルと言うチェーンを組み立ててレースを生産するタイプの機械で作られます。俗に「ラッセルレース」と呼ばれるのはこれです。

②ジャガトロニックレース(Jacquartronic Lace)

チェーンラッセルの次に開発された、コンピューター式ラッセルレースです。コンピュータでドラフトと言われる工程を行い、データーをフロッピーに入れて、機械に入れればそのデーターのレースデザインが出来上がります。

③テキストロニックレース/落下板(らっかばん)レース(Textronic Lace)

ジャガトロニックレースにプラスアルファされた機械で作られる、立体感が表現できるレースです。

④ラッセルトロニック(Rascheltronic Lace)

これは、少し特殊なタイプで、生地のようなレースです。

ジャカドロニックレース。タケダレースの商品名は「レーシーリバーレース」と呼ばれています。

テキストロニックレース。日本では落下板レースと呼ばれることが多く、タケダレースの商品名は「フォルポリバーレース」と呼ばれています。(画像提供/タケダレース)

描くレース柄は年間200以上、会社全体では1000以上を提案
 

川原:ラッセルレースの強みとは何ですか?

ご存知のように、ラッセルレースはリバーレースの美しさを、より早いスピードの生産で表現するために生まれました。リバーレースに比べ、生産性が高いため価格も抑えられますし、機能性もあるので使い勝手も良いと言えるでしょう。それに、リバーレース機と違ってラッセル機はどんどん進化して技術も進歩していますから、常に新しいものが生まれていますね。

川原:橘さんは、年間にどのくらいの数のレース柄をデザインされるのですか?

橘:年間では200以上だと思います。他のデザイナーの分を含めると、会社全体では1000以上の柄を提案することになります。

川原:そんなに!!

橘:そうですね。取引先のデザイナーさんの要望を聞いて柄を描くこともあれば、我々が提案したい柄を描くこともあります。その中から厳選されたものを試作し、実際の製品はさらに絞り込まれますね。

川原:橘さんは、なぜレースのデザイナーになったのですか?

橘:もともと絵を描くことやファッションが好きで、大阪でデザインの専門学校に入り、商品広告やグラフィックを学びました。レースにすごく興味があったかと聞かれれば、なかったと答えたほうが正直でしよう(笑)。ただ、面白そうだと思いましたし、チャレンジだと思って入社しました。何の知識もなく入社しましたから、覚えることが本当に多くて大変でした。レースデザイナーだからといって柄を描くだけが仕事ではなく、機械の制限もありますから、その仕組みを理解して柄を描かなければなりません。それらがわかって、描いた柄がちゃんとイメージ通りに出来上がるようになるまで、3年くらいかかったと思います。そうなってくると、仕事が俄然面白くなってきました。

タケダレースが国内外の取引先へのプレゼンに使用するトレンドブック。

 

*次回(10/31公開予定)は、レースデザイナーの仕事のプロセスや現在の日本のレース業界を取り巻く環境についてお聞きします。

関連記事

  1. Lingerie Talk @ Lingerie Press vol.4-2

  2. Lingerie Talk @ Lingerie Press vol.2-1

  3. Lingerie TALK vol.12 『ワコール』

  4. Lingerie TALK vol.13 『Aubade(オーバドゥ)』

  5. Lingerie Talk @ Lingerie Press vol.4-1

  6. Lingerie TALK vol.23『PRISTINE』

  7. Lingerie TALK vol.19 『トリンプ』

  8. Lingerie TALK vol.26『シェリール』

PAGE TOP